「ビットコインの法律改正って投資家にとって何と関係あるの?」、「法律改正されたのは知ってるけど、具体的な内容が分からない・・」などのように、ビットコインの法律改正について知らない事はありませんか?
今回は、ビットコインの法律改正の具体的な内容について、投資家が押さえておくと役立つポイントを中心に解説していきます。
ビットコインに関連する法律に知らなかった人は、今回の記事を参考にして国内でのビットコインや暗号資産(仮想通貨)取引所の定義などについて覚えておきましょう。
改正された資金決済法
ビットコインの法律改正と冒頭で紹介しましたが、正確には「改正資金決済法」と呼びます。今回の記事では分かりやすさを重視するため、あえて法律改正という呼び方で解説していきます。
ビットコインやアルトコインなどに関連する、改正資金決済法によってどのような法律改正が行われたかというと、暗号資産(仮想通貨)の定義や暗号資産(仮想通貨)取引所が負うべき責任などについて定められています。
では、それらの項目を分かりやすく紹介します。
改正された文言(引用)
法律改正された「改正資金決済法」の文言についてですが、膨大な量があるため今回の記事では紹介しきれません。従って、今回紹介するのは、暗号資産(仮想通貨)の定義や暗号資産(仮想通貨)取引所を運営にするあたって必要な要件についてです。
例えば以下のような文言が定められています。
改正資金決済法 第一条(引用)
第一条 この法律は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引、暗号資産(仮想通貨)の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性及び利便性の向上に資することを目的とする。
改正資金決済法のポイント
続いては、改正資金決済法をビットコイン・暗号資産(仮想通貨)投資家が知る上で、必要な情報を中心に紹介していきます。
暗号資産(仮想通貨)投資家が知っておくべき法律改正のポイントは、暗号資産(仮想通貨)の定義・暗号資産(仮想通貨)交換業者(仮想通貨取引所)・暗号資産(仮想通貨)の扱いについてなどになります。特に最近話題になっている、暗号資産(仮想通貨)取引所への是正勧告が、どのような内容か理解できるようになります。
ポイント①:暗号資産(仮想通貨)の定義
法律改正後の扱いは1号暗号資産(仮想通貨)と2号暗号資産(仮想通貨)という2種類の「通貨」に分けられています。
1号暗号資産(仮想通貨) = ビットコイン
1号暗号資産(仮想通貨)はビットコインのことで、簡単に説明すると以下のような要件が定められています。
- モノやサービスの決済として利用できること
- 法定通貨との交換が可能
- 仮想空間の通貨であること(実体を持たずとも取引できる)
- 法定通貨や通貨建て資産ではないこと
上記4要件を満たした「通貨」が、1号暗号資産(仮想通貨)として定義されます。
2号暗号資産(仮想通貨) = アルトコイン
ビットコインが1号暗号資産(仮想通貨)として定められていますが、アルトコインは1号暗号資産(仮想通貨)に当てはまらないように法律改正されています。
また、2号暗号資産(仮想通貨)という定義にアルトコインが、定められるようになっています。
- 1号暗号資産(仮想通貨)と交換できる通貨
- パソコンなど端末を用いて電子取引が可能な事(実体を持たずとも取引出来る)
さらに、上記の2要件を満たした、「通貨」が2号暗号資産(仮想通貨)として定義できます。
ポイント②:暗号資産(仮想通貨)交換業者の定義と登録
法律改正後は、
- ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の送金、ユーザーに対して取引を行う
- ユーザーの代わりに売買を取り次ぐ、ユーザー同士の取引をつなげる
- 取引所として、ユーザーの資産を管理する
- 上記3要件を満たして事業として行う
といった4要件を満たした業者が、暗号資産(仮想通貨)交換業者として定義されています。
そして次の項目では、暗号資産(仮想通貨)取引所(仮想通貨交換業者)の規制について紹介します。
財務規制
財務規制の目的は、債務超過となる事業者の発生を防ぎ、暗号資産(仮想通貨)の取引を適正に管理・運営するため、一定の資金を有することが必要だからです。
誰でも暗号資産(仮想通貨)交換業者として事業を始められるようになると、資金不足によって適切な運営やセキュリティ管理ができなくなり、債務超過となる事業者が出る可能性があり、
- 資本金の金額が1000万円以上あること
- 純資産総額がマイナスになっていないこと、すなわち債務超過の状態ではないこと
という上記2要件を満たさなければならないよう規制されています。
情報提供義務
暗号資産(仮想通貨)交換業者は、ユーザーに対して取引方法や契約内容、リスクについての説明などを、正確に伝えることが義務付けられています。
例えば
- 暗号資産(仮想通貨)交換業者が提供するサービス内容
- 取り扱い仮想通貨(ビットコイン含む)の種類
- 価格変動などのリスクについて説明
- 説明事項はボタンを押して次のページへ進むこと
- 対面の場合は書類や口頭での説明
など、ユーザー保護の観点から様々な情報提供が、義務付けられています。
分別管理
続いての規制は分別管理についてで、名所だけでは分かりにくいと感じるでしょう。
簡単に説明すると、ユーザーのビットコインや法定通貨などの財産と、暗号資産(仮想通貨)交換業者の暗号資産(仮想通貨)や法定通貨などの財産を分けて管理することが義務付けられています。
また、ユーザーのビットコインなど暗号資産(仮想通貨)のアドレスと、暗号資産(仮想通貨)交換業者が保有しているビットコインなどのアドレスを、分別して管理することも定められています。
情報セキュリティ対策
ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)は、インターネットや端末を活用して取引や管理を行います。
従って、暗号資産(仮想通貨)交換業者にはシステムの適切な管理や、不性アクセス対策などセキュリティ体制の確立が義務付けられています。
監督規制
監督規制というのは、国が暗号資産(仮想通貨)交換業者を監督し、業者は監督されている環境の下で暗号資産(仮想通貨)に関する事業を行います。
そこで、確定申告などで必要な帳簿書類・報告書の作成や提出の義務が課されています。
さらに、最近ニュースでも話題になっている、暗号資産(仮想通貨)取引所に対する業務改善命令や登録の抹消などは、この規制の下で行われています。
マネロン規制
海外では、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を使ったマネーロンダリングが問題となっており、国内でも法律改正に伴い規制が設けられました。
- ユーザーが口座開設する際に取引に関する規制やルールの確認をさせる
- ユーザーの取引記録の保管など
- ユーザーが不審な取引を行った際に届け出が義務づけられる
- 社内の管理体制を整えるように義務づけられる
上記の4要件が義務付けられています。
ビットコインに関するよくある質問
暗号資産(仮想通貨)の定義と、暗号資産(仮想通貨)交換業者に関する定義・規制について理解できたでしょうか。続いては、ビットコインや法律改正に伴う変化について、疑問に感じやすい点をまとめていきます。
疑問1:ビットコインは資産・通貨、どちらでしょうか?
法律改正前は、ビットコイン含む暗号資産(仮想通貨)は資産として扱われていました。この場合の資産というのは、金や原油と同じく通貨としての役割ではないが、価値のあるモノという意味です。
対して法律改正後は、ビットコイン含む暗号資産(仮想通貨)を「通貨」として定義されました。ただし、法定通貨と違い、価格の変動要因は物価との関係性ではなく、需給関係で決まります。
疑問2:会計上の取扱いは?
法律改正後のビットコイン含む、暗号資産(仮想通貨)の会計上での取り扱いは2018年時点で定まっていないのが現状です。
例えば、法定通貨のように有価証券に当てはまらないので、金融商品として取り扱う要件を満たしていません。
また、外貨のように取り扱うこともできるのではないか、という考え方もあり様々な取り扱い区分が候補として挙げられています。
疑問3:税金上の取扱は?(消費税・キャピタルゲイン税)
続いては、法律改正後のビットコイン含む暗号資産(仮想通貨)の税金について紹介していきます。
ビットコインなどの仮想う通貨は、法律改正後も所得税に関しては、基本的に取り扱い区分が変わっていませんが、消費税については変更があります。
個人の場合(税金)
法律改正後は「通貨」として定義されたので、消費税については控除されるようになりました。ちなみに法律改正前は、明確な定義がありませんでしたので、消費税の納税義務が課せられていました。
そして、キャピタルゲインなどで得た利益、つまり所得税については法律改正前と変わらず雑所得として取り扱っています。
従って、総合課税方式で他の所得と合算して損益通算が出来ない点に注意しましょう。
法人の場合(税金)
法人の場合もビットコインを含む、暗号資産(仮想通貨)による利益が発生すると、法人事業税として納税する必要があります。
しかし、一定の所得を超えると、場合によっては法人の方が税制面で有利になるので、ビットコインによる利益が数1000万円を超えるのであれば、法人化するのがいいでしょう。
消費税については、個人と同様に非課税となっています。
疑問4:電子マネーとの違いは?
暗号資産(仮想通貨)は「通貨」ですが電子マネーは「電子財布」という違いがあります。
例えば、電子マネーで決済を行うといっても、チャージしたお金は法定通貨なので、ウォレットとしての役割が正しい認識でしょう。
また、電子マネーの場合、企業が提供するサービスの範囲内でしか利用できませんが、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は、世界中どこでも利用できます。
法律改正によってビットコインなどの取り扱いが明確になった
暗号資産(仮想通貨)取引所に対する是正勧告など、規制に関するニュースもありますが、これは法律改正によって市場を健全化するために必要な措置です。
むしろ、法律改正前の規制が全くない市場の方が、ビットコイン投資家にとってハイリスクであり、法的にも保護されない立場でした。
法律改正というと、難しいイメージがありますが、ビットコインや暗号資産(仮想通貨)取引所が健全で安全な取引ができるよう、整備されていると考えるのが良いでしょう。
仮想通貨の今後