体温計や体重計、冷蔵庫や車など様々なモノとインターネットが接続するIoT技術が注目されています。
インターネットとモノが繋がることで、様々な分野で活躍できる反面、IoTはセキュリティ面が問題です。
仮想通貨IOTAは、IoT技術に仮想通貨の技術を取り入れることで弱点を改善します。
本記事では「仮想通貨IOTAとは?」をテーマに基本~最新情報、価格推移から今後の予想まで徹底的にまとめました。
仮想通貨IOTAとは?
IOTAとは、仮想通貨技術をIoT(Internet of Things)デバイス間のデータの送信に利用するためのプロジェクトです。
従来インターネットに接続していなかったモノとモノをインターネットを使ってつなげるIoTは多くのユースケースが存在します。例えばスマートスピーカーやスマートフォンを使って部屋の電気やエアコンを操作するのは、その代表例と言えるでしょう。
ただIoTにはセキュリティ面のリスクが大きい技術です。ハッキングを行うことでIoTで管理する自宅の鍵を勝手に開けたり、自動運転車を暴走させることもできます。そこでセキュリティ面に強みのあるブロックチェーン技術の導入が期待されていました。
しかしブロックチェーン技術をIoTに利用する際には大きな課題があります。IoTデバイス間では絶えず小規模なデータのやり取りが発生しており、ブロックチェーン技術を導入するとその都度手数料が発生してしまうのです。
そこでIOTAはブロックチェーン技術ではなく、有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph, DAG)という技術を採用することで手数料のかからない送金を実現しました。
仮想通貨IOTAに関する最新情報まとめ
リリース日 | 概要 | 情報ソース |
2020年12月8日 | ClimateCHECKと戦略的パートナーシップを締結 | https://blog.iota.org/iota-and-climatecheck-launch-new-digitalmrv-solution-and-strategic-partnership-e3c4f55c8958/ |
2021年3月29日 | IOTAがBinance Smart Chain上で利用可能に | https://blog.iota.org/iota-token-liquidity-now-available-on-binance-smart-chain/ |
2021年7月6日 | Trademark East Africa(TMEA)とのパートナーシップの延長 | https://blog.iota.org/trademark-east-africa-and-iota-paperless-trade-with-the-tangle-aims-to-become-a-standard-in-2022/ |
IOTAに関する最新情報をまとめました。
2020年末から2021年7月まで、おおよそ3~4ヵ月のスパンで好材料となるニュースが発表されています。
IoTの技術を環境保全や国際貿易に導入すべく、IOTAは多くの企業や団体と提携中です。
また、Binance Chainに対応したことで、仮想通貨としての有用性も増しました。
それでは、各情報を詳しく見てみましょう。
ClimateCHECKと戦略的パートナーシップを締結
2020年12月8日、IOTA FoundationとClimateCHECKが戦略的パートナーシップの開始を発表しました。
ClimateCHECKは(Measurement, Reporting and Verification, 温室効果ガスの測定、報告、および検証)のサービスとソリューションを提供する国際企業です。両者はMRVを合理化・デジタル化するためのツールであるDigitalMRVを共同開発しました。
DigitalMRVはカナダ政府とチリ政府が共同で実施する気候変動への対策プロジェクトであるRecicloOrgánicosに導入され、チリの埋立地ガスの回収施設として機能するワイナリーに配備されます。
このワイナリーでは有機性の廃棄物をバイオガスに変えることで化石燃料の消費量を抑え、同時にバイオガスに変えた残りを肥料として使用します。DigitalMRVを利用し、ワイナリーでの二酸化炭素排出量を測定することで自然環境への効果を計算可能です。
IOTAがBinance Smart Chain上で利用可能に
2021年3月29日、IOTAがBinance Smart Chain上で利用可能になったことが発表されました。
Binance Smart Chainは、仮想通貨取引所でありブロックチェーン企業でもあるBinanceが開発した独自のブロックチェーンです。dAppsの開発などを通じたエコシステムの構築を目指しています。
通常、異なるブロックチェーン上に展開される仮想通貨同士は互換性を持ちません。そのためIOTAはブロックチェーンの垣根を超えてエコシステムを構築することは難しいです。
そこでBinance Smart ChainのBinance Bridgeという機能を使い、IOTAをBinanceIOTAというBEP20トークンに交換することでIOTAをBinanceエコシステムに導入しています。この統合によって、IOTAをBinance Smart Chain上のDeFiアプリケーションで運用できるようになりました。より利用が拡大し、IOTAのエコシステムの発展が期待できます。
Trademark East Africa(TMEA)とのパートナーシップの延長
2021年7月6日、IOTA FoundationとTrademark East Africa(TMEA)はパートナーシップの延長に合意し、ペーパーレス貿易の2022年までの標準化に取り組むことを明らかにしました。
TMEAは貿易の拡大を通じて東アフリカ諸国の経済的な繁栄を促進することを目的とする貿易支援組織です。アメリカやイギリス、カナダなどの先進国の開発機関から資金提供を受けています。
従来、TMEAは東アフリカの貿易の課題として膨大な文書処理をあげていました。TMEAのによると、1回の貿易取引でアフリカの起業家はなんと96枚もの文書の記入が必要というデータが出ています。
そこで2020年3月12日にIOTA FoudationとTMEAはパートナーシップを提供しました。ケニアの貿易文書をIOTAに記録することでケニアの花の輸出プロセスをデジタル化するテストを実施しています。
そしてその結果が良好であったことから両者のパートナーシップが延長されることとなりました。ケニア国内での他の輸出プロセスの自動化を進めると同時に他の東アフリカ諸国においても同様のテストを行う予定です。
仮想通貨IOTAの将来性
IOTAの将来性は非常に高いと言えます。IoTの可能性は大きく、今後もユースケースの拡大が期待できます。
スマートスピーカーなどをはじめ、センサー情報を使ったモニタリングや電波強度による存在感知など、自分が直接操作・感知できないものすべてに応用可能です。
そして単一の障害点によるセキュリティ障害というリスクを克服できるIOTAは今後のIoTへのブロックチェーン導入の主流となることが期待できます。現状、IoTに導入できるブロックチェーンはコンソーシアム型が想定されますが、IOTAはパブリック型であるため、より分散化された処理が可能です。
ただIoTの課題を解決するための対策はブロックチェーンの導入には限りません。例えば単一の障害点となりうる部分のセキュリティ強化の技術はいくつも登場しています。
既存の技術とブロックチェーンを比較し、ブロックチェーンの優位性が評価されれば、IoTにブロックチェーンを応用する動きの加速が期待できるようになります。今後IoTとブロックチェーンの組み合わせがより増えていけば、IOTAがより注目されるようになるでしょう。
DAG技術がIOTAの強み
IOTAの手数料のかからない、高速送金処理を実現するのはTangleといわれるDAG技術です。
厳密にはブロックチェーン技術を採用していないのです。
通常、ブロックチェーンではひとつのブロックにひとつのブロックがつながっています。そのため承認待ちのブロックが生まれ、手数料の高騰や送金の遅れを招きます。
Tangleはひとつのブロックに複数のブロックが連結する仕組みです。どこかのブロックで送金が遅れても、別のところで承認されれば送金できるため、高速の送金ができます。
利用者が増えても送金が遅れることはありません。
またTangleには送金記録を承認するマイナーが存在しません。送金を行う利用者が他の送金を承認する仕組みを採用しており、報酬を支払う必要がありません。
上記のような仕組みから、TangleのコンセンサスアルゴリズムはPoW as a Service(PoWaaS)であると言われます。取引を承認する報酬としてマイニング報酬ではなく自分の取引が承認されるという新しい形のインセンティブが働き、高いセキュリティを維持しながら手数料のかからない送金を実現しています。
仮想通貨IOTAの価格推移と今後
IOTA/MIOTAの基本情報 | |
IOTA/MIOTAの価格 | ¥89.49 |
一日の出来高 | ¥4,853,285,965 |
マーケットドミナンス | 0.15% |
市場ランキング | 46位 |
時価総額 | ¥250,269,073,317.18 |
直近1年間の高値/安値 | ¥295.66/¥24.96 |
最大供給 | 2,779,530,283MIOTA |
※価格等の情報は2021年07月27日時点のCoinmarketcapより引用
IOTAは、海外取引所のほとんどに上場しています。
国内取引所には未上場なものの、仮想通貨ランキング50位以内のアルトコインとして有名です。
IOTAの取引量は、3割以上を海外取引所BinanceがIOTA/USDTが占めています。
価格推移は、堅調に長期的には上昇トレンドを描いており、価格自体も実は1IOTA=100円未満と比較的手を出しやすい価格です。
長期的な上昇トレンド、再上昇の可能性大
IOTAは、長期的には上昇トレンドの中にいます。2020年3月を中央最安値とし、逆三尊のチャートパターンが確認できるトレンド転換点を形成しました。
2021年2月には、過去最大の大陽線を付け続伸、4月には史上最高値2.67USDTへと到達しています。
ただし、日足レベルでは大きく下落する調整局面が起きている現状です。
昨年8月の高値で買われる動きが確認されていることから、0.42~0.56USDTの価格帯を反発点に再び史上最高値まで上がる可能性が高いでしょう。
▼関連記事▼
【10分で分かる】ビットコインFXで使える「逆三尊(ぎゃくさんぞん)」解説
仮想通貨IOTAとは? まとめ
今回は「仮想通貨IOTAとは?基本情報・将来性・価格推移まとめ」のテーマでした。
この記事のポイントは以下の通りです。
- IOTAは、IoTに仮想通貨に技術を導入することが目的のプロジェクト
- Directed Acyclic Graph(DAG)がIOTA最大の強み
- DAGを用いることで送金速度が早く、手数料が発生しない
- Binance Chainに対応したことで、仮想通貨としての有用性が高まった
- 国際貿易・環境保全など多くの団体・企業がIOTAの技術を導入している
- 価格推移は堅調に、長期的には上目線。直近では早くも再上昇の兆しが見える
IOTAは、仮想通貨業界でも知名度があり、プロジェクトは多くの企業と提携し、運営の実体が見えます。
しかしながら、日本国内の取引所には未上場です。
2021年下半期は、日本国内の取引所へ上場するようなビッグニュースも期待されます。
世界的にもIoT技術の関心は高く、IOTAを用いることでセキュリティやコスト面の改善もできますから、将来は非常に有望です。
アルトコイン