仮想通貨の今後

【元銀行員が語る】ブロックチェーンが変える銀行業界。銀行はブロックチェーンと共存できるか。

仮想通貨のベースとなるブロックチェーンという技術は通貨だけでなく、医療業界や保険商品、ギャンブルなど様々な分野への活用が期待されるようになってきましたが一方でブロックチェーンがある業界を衰退させる可能性が出てきました。

その業界とは「銀行業界」です。今回はブロックチェーンの技術が今後どのように活用され、銀行業界が直面する危機について解説していきたいと思います。

ブロックチェーンと仮想通貨とは

はじめに、ブロックチェーンの技術が応用されてできたものが「仮想通貨」であると述べましたが、この仮想通貨ができることについてご説明します。

貨幣の3要件とビットコイン

貨幣の3つの要件は、「価値の尺度・交換の媒介・価値の蓄蔵」です。

現在仮想通貨界で一番流動性の高いビットコインを例にしてみていきます。

貨幣の要件である「価値の尺度・交換の媒介・価値の蓄蔵」のうち既に時価で1BTCがいくらという値が各取引所でついているため、「価値の尺度」の要件を満たしていることになります。

また、まだまだ十分とは言えませんがビックカメラやソフマップ等一部のお店で決済手段としてビットコインの使用が認められていることからも「交換の媒介」としての機能も認められつつあります。

しかし、2017年に1BTC200万円以上の価格がつき、爆発的に価値が上昇しましたが20185月時点では8090万円と非常に価値の変動が激しいことから「価値の蓄蔵」機能を持つことが今後の課題となってくるでしょう。

ブロックチェーンが銀行業務変える

上で説明をした3つの機能を有する仮想通貨が日常的に使用されるようになると、銀行の業務にどのような影響が出るのか、今度は銀行業務側の視点から解説していきます。

銀行業務はこれまで稼げていた手数料ビジネスで稼ぎづらくなります。一方で、多くの手作業や人をかけて行っていた仕事が必要なくなるのでコスト削減のチャンスがあるのです。

預金業務

銀行の主要業務である預金業務では顧客からお金を預かり、預かったお金を他で運用することで収益をあげています。しかし、仮想通貨が現在のお金の役割を果たすようになると銀行にはお金が集まらないため、運用できなくなることから運用収益部門は縮小することが予想されます。

一方で、現金の取扱いにはコストがかかります。現金の利用が減ると外部の警備保障会社等に委託している日々の現金輸送・管理コストが抑えられるようになるため、一方的な減益要因になることはありません。

むしろ低金利時代で運用収益を上げづらい現状では、銀行によっては減収増益要因になる可能性もあります。

送金業務

銀行の口座間での送金業務も振込手数料というサービス料が取れるため、銀行にとっては大事な収入源の一つ。特に海外への送金は国内の送金手数料の約10倍の手数料を取れるため、都市銀行はこの機能を拡大させていくというのが最近の戦略でした。

仮想通貨においても当然仮想通貨を管理しているウォレット間での送金機能があります。しかも間に仲介する業者が少ない分非常に少額な手数料でどこにでも送金ができるため、仮想通貨が主流になることで銀行のシステムを維持するための収益をあげることも難しくなるでしょう。

ただし、現状の転換期においてはブロックチェーン技術への投資と現行の金融システム維持のための支出が重なるために銀行からの資金流出が増加します。ブロックチェーンのプラットフォームが確定し、現行の金融システムを放棄できるようになればその分野に係る従業員への人件費やシステムメンテナンスに係る相当な額の保守費用を削減させることにつながるでしょう。

為替業務

最近では個人間での小切手の取り扱いは少なくなりましたが、法人については依然として小切手や手形を発行する決済手段を取る企業も少なくありません。小切手や手形を受け取った側は銀行に対して自分の口座に代金を入金するよう依頼をし、銀行は手形交換所等を介してお金を発行銀行に取立しますが、これらの行為を銀行では為替業務と呼んでいます。

この為替業務においても個別に取立手数料を得ているために銀行の大事な収入源ですが送金業務同様、将来的に業務縮小に準じた各経費の削減メリットを享受しつつ、仮想通貨に為替業務の役割を奪われていくのかもしません。

銀行のブロックチェーン技術の取入れの動き

当然銀行もただ仕事を奪われるのを見ているわけではありません。以下に銀行が手掛けているブロックチェーン技術の活用事例を挙げていきますので、これらの動きから銀行業界の将来を予想していきたいと思います。 

活用事例1 都市銀行共同のP2P送金ネットワークの開発

日本国内ではメガバンク3行が共同の送金業務プラットフォームを作成することに着手しているようです。

現在はそれぞれの仮想通貨で所属するブロックチェーン上での送金が行われていますが、将来的には各銀行が発行する仮想通貨でお金のやり取りをすることを計画しています。 

活用事例2 送金以外の金融業務への応用

通常口座を作成する際や高額な振込には本人確認資料の提出を求められますよね。

この本人確認資料をブロックチェーン上に保管・データベース化し、様々な銀行がそのデータベースを確認できるようにすることで本人確認資料の都度確認を省略するような構想が出てきました。

また、保険商品分野にブロックチェーン技術を応用して各顧客の個人情報を記録することで煩雑な申込手続きを簡略化するような動きも見られます。

どちらもブロックチェーンの強みである「記録の改ざんができない」ことを活用した事例ですが、今後は通貨としての技術発展に並んでブロックチェーンをデータベースに応用する動きが活発化することが予想されます。 

活用事例3 国際間の送金業務への活用

ブロックチェーンで送金が可能ならば当然国内間だけでなく、国際間の送金業務にも応用ができます。

現在国際間の送金についてはSWIFTと呼ばれる世界共通のプラットフォームが利用されておりますが、ブロックチェーンの応用によって新たなプラットフォームの構築が計画されており、比較的高額であった送金手数料を大幅に引き下げることが可能とされているため、非常に期待されている活用事例です。 

効率化される銀行業務

銀行業界はそもそも現在でも全国に547行(20184月末基準:信用金庫等も含む)存在し、飽和状態にありました。そこにこのブロックチェーンという脅威が出てきて、各行は戦々恐々としているのが実情です。

活用事例のように、必死にブロックチェーンの技術を取り入れようという動きはあります。一方で、上述した通り仮想通貨に「価値の尺度・交換の媒介・価値の蓄蔵」の3つの要件が揃えば銀行の業務は縮小せざるを得ません。

また、既に各銀行が今後の方針・取組を発表しているため、その内容についても確認していきましょう。 

業務縮小に向けた取組1 業務効率化・人員整理

2017年、3メガ銀行を中心に業務効率化と人員整理のニュースが出たことが記憶に新しいと思います。現状リストラではなくRPA導入によって業務を効率化し、人員の配置転換と新卒の門を狭くすることで銀行の経費の中で比率の高い人件費を抑えようという動きがあります。

従来大量採用といえば銀行業界が一番にイメージされていましたが、今後はその常識が崩れていくことが予想されます。 

業務縮小に向けた取組2 支店の統廃合・保有土地の有効活用

ブロックチェーンの活用が難しい、もしくは技術への投資が困難な地方の地方銀行・信用金庫はニュースで大々的に発表されることはありませんが、メガバンクよりも苦しい状況にあります。

このため、人員整理に加えて既存店舗網の見直しを行い、統廃合を検討している企業は多いです。更には廃止した支店の有効活用まで考えているため、ブロックチェーン技術が地方に与えるインパクトは予想以上に大きくなる可能性があります。

リップル等のブロックチェーン以外の技術の取入れ

ここまでブロックチェーンの技術を中心に解説させていただきましたが、実はブロックチェーン以外にも同様の技術も銀行業界に脅威を与えています。

国際送金についてはリップルの「XRP ledger」と呼ばれる分散型台帳も注目されていますし、保険分野ではByteball等が基盤にしている「DAG」と呼ばれる技術が注目されています。

それぞれの技術はまだ誕生してから日も浅く、国としても仮想通貨という存在をどう扱うかについては見解が統一されていませんが、これらの技術の発展は更に金融業界を脅かすことになるでしょう。

銀行とブロックチェーンの動きのまとめ

2017年に大きく価値を上昇させたため、どうしても現在は投機対象としての見方が強い仮想通貨業界。

ベースとなる技術は非常に様々な分野へ活用できるため、今後も非常に注目すべき業界です。

一方で仮想通貨の技術の確立が銀行業界を縮小させる一面も見逃せません。そして銀行業界の縮小が個々人の生活や経済に与える影響は未知数ですが、現在金融業界で働いている方やこれから金融業界を目指す方はこの事実とどのように向き合うべきかを考えていくことが重要です。

また、直接銀行業界に関連のない方でもお金は生活を送るうえで重要な要素であり、銀行との接点がゼロである方はほぼいないと思います。

ただし、今後は銀行にお金を預けるという常識が大きく変わる可能性もあることから日々必死に働いて得ている資産を目減りさせないようにマネーリテラシーを高めていくことに努めていきましょう。

仮想通貨の今後
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